キャスト対談 第29弾
指導員 松井 彩子 様 × キャスト F さん
松井 彩子。
医療法人社団慈雲堂(じうんどう)病院
地域連携推進部デイケア室所属。
松:Fさんの今までと、
これからについて話を聞きたいと思います。
私と出会ってどのくらい経ったか分かりますか?
F :もう5年弱、4年とちょっとぐらいでしょうか。
松:その中で、
2回就職活動を一緒にさせていただきました。
ジェイ・アイハートサービスは2社目になりますが、
まずは前職について聞きたいと思います。
どのような仕事をしていて、
期間はどのくらいだったか教えてください。
F :企業の法務室で事務をしていまして、
1年4カ月勤務しました。
松:退職した理由は何だったのでしょうか?
F :そうですね……。
事務をちゃんとやるのは初めてだったのですが、
新しいことを次々言われる中で
だんだんついていけなくなり、
退職することになりました。
松:就職活動をする中で、
当院に通院をされていましたが、
どのような課題に向かって
Fさんは日々過ごしていましたか?
F :前回の就職活動を通して
就職に対する心構えは教えていただいていたので、
今回は書類を書いた後添削していただいて、
書類ができたと同時に会社を
どんどん受けていこうということになりました。
松:合同面接会に出てみようという話になって、
この会社を受けてみようと思っきっかけや
決め手は何かあったのでしょうか?
F :合同面接会に参加した企業の中で
唯一の特例子会社で、一般企業より
障害者に対する配慮があるのではないかと考えたのと、
私は元々医療職につきたかったというのもあり、
医科大学の特例子会社で附属の病院もあるので、
近い仕事ができるのではないかと思いました。
松:実際に面接や見学しての印象はどうでしたか?
F :配慮されているなと思いました。
指導員が多くいらっしゃったので、
自分の意見を吸い上げていただいたりとか、
相談事もしやすい環境だなと思いました。
松:見学での思い出はありますか?
F :最初はとても緊張しましたが、
先輩キャストが人柄の良い方ばかりでしたので、
とても安心しました。
「Fさんて、前からいる人みたい」と言われたり、
最終的には馴染んで見学を終えることができました。
松:Fさんには人に溶け込む力があるのですかね。
F :あるのかも知れません(笑)。
松:ご縁があって、
就職してからはどのくらい経ちましたか?
F :昨年の12月に入社しましたので、
9カ月経ちました。
松:主な業務の内容を教えてください。
F :メインは検収業務です。
他に熊手のパーツ作成やパソコン入力、
メールの仕分け業務などもあります。
松:どの業務が楽しいとか、
好きな業務はありますか?
F :一つの業務をずっとやるという訳でなく、
時間帯によってさまざまな業務をやりますので、
どれも飽きずに楽しく仕事に取り組めます。
ただ、年齢を重ねるにつれ、
また服薬の影響なのか体力の衰えを感じていて、
体を動かすより、
デスクワークの方が向いてきているのかなと思います。
松:年齢のせいにしないで下さい!(笑)
では逆にこの業務は疲れてしまうなとか、
自分には向いていないと感じる業務はありますか?
F :インタビューの録音内容をそのまま入力していくというのを
一度だけやらせていただいたのですが、
私は入力が早くないのでこれは大変だなと思いました。
松:大変だな、苦手だなと思う業務の後は、
家でどっと疲れがきたりしますか?
F :その時の状況に限って言えば、
試験的にその業務をやるということでしたので、
今後も続くかどうかわかりませんでしたし、
練習も必要ないということでしたので、
単純に自分にはきついなと思いました。
松:Fさんとの話で、
評価制度があることについて
すごく驚いていたことが印象的です。
振り返る良いきっかけになるのかなと思いますが、
今はどう考えていますか?
F :評価を受けることに最初は緊張したのですが、
励みにもなりますし、
自分を高めてくれる、
成長するうえでとても良い制度だと思っています。
定期的に目標設定や評価があることや、
指導員も多くおり、
人を育てる環境が整っていると思います。
松:自分が成長したなと実感しているところは何でしょうか?
F :ハートサービスでの仕事は多彩で、
初めての業務もたくさんあるのですが、
初めてのことでも恐れずやってみるというところです。
また、上司への報告・連絡・相談や、
チームワークで仕事を完了させることの大切さを学びました。
仕事の基本だと思いますが、
基本をしっかりと学ばせてもらっていると思います。
松:指導員さんからの話で
印象に残っていることは何かありますか?
F :「結果は勿論大切だけれども、
それ以前にやる気と真摯さを大切にしている。
そのうえでチームワークを意識して
仕事をするのが大事だ」
と言われたのが強く印象に残っています。
松:Fさんの仕事での目標や課題について教えてください。
F :目の前の仕事をひとつひとつ行っていく中で、
長く仕事を続けられれば良いと考えています。
松:仕事を長く続けるのが目標なのですね。
今度はプライベートについても聞きたいと思います。
Fさんは環境の変化が得意な方ではないと思っていますが、
就職をして環境の変化があったり、
人間関係の変化もあったと思います。
家での過ごし方とか疲れた時の対処方法や
ストレスの発散はどのようにしていますか?
F :春や秋は山に登ったり、ウォーキングをしたり、
最近はジムに行っています。
また、心の貯金をしようかなと思い、
本を読んで過ごしたりもしています。
あとは、家族や友人と話をして、
その中で少し愚痴を言ったりして解消しています。
松:家に帰って、
余暇を過ごす時間はありますか?
F :一般の方より時間の余裕はあると思います。
松:では、疲れて帰ってきて、
すぐ寝てしまうとかではないのですね。
F :そうですね。
最初の頃は疲れて寝てしまうことがあったのですが、
それだと寝る時間がずれてきてしまい、
生活のリズムが崩れてしまうので、食事をした後、
すぐに寝ないようにしてリズムを整えています。
松:お給料は何に使っていますか?
F :貯金をしたり、
遅ればせながら親孝行をしたいと思い、
プチ贅沢な食事に連れて行ったりしています。
あとは自分の服を買ったり、
小旅行に出かけたりするのに使っています。
松:自分のお金でというのはやはり違いますか?
F :そうですね。
お金のありがたみが違います。
松:前職の時から日々の相談に乗っていましたが、
前職の時とは全然違うなと思っていて、
愚痴が少なくなったなというのが非常に印象的です。
月に1回デイケアに来て話を聞かせてもらっていますが、
仕事が楽しいのだろうなと思いますし、
心に余裕を持って仕事ができているなと感じています。
自分ではどうですか?
F :前職は非常にストレスフルな職場でした。
今もストレスはかかりますが、
キャストの皆さんの人柄が良く、
仕事もさまざまな仕事がありますが、
次から次ということでもないので、
何とかうまくやっていけていると思います。
松:仕事は楽しいですか?
朝行きたくないなとかはありませんか?
F :たまに体調が悪い時にはそう思うこともありますが、
基本的には今日もがんばろうという気持ちで
素直に出勤できています。
松:それは誰しもあります(笑)。
私の病院では、
一歩踏み出すのを躊躇う方が多いのですが、
就職したいけど、
なかなかその一歩を踏み出せない人に対して、
Fさんからアドバイスをもらえますか?
F :失敗を恐れず果敢に
立ち向かうことが大切だと思っております。
どうせ挑戦するのであれば、
若い時の方が得るものが多いし、
突破力もあると思っております。
松:何で若い時の方が良いのですか?
F :体力もありますし、
吸収力もあります。
若い時の方が学ぶものが多いと思います。
松:その辺、落ちたなと思っているのですか?
F :私も40代半ばを過ぎまして、
体力の衰えを感じるところであります。
松:千代の富士みたい。
「体力の限界」(笑)。
F :限界までは来ていません(笑)。
松:では最後に、
今後の目標を聞かせてもらえますか。
F :仕事を一生懸命やり長く続けることによって、
最終的には一人暮らしをしたいと思っています。
服薬の量も徐々に減らしていきたいという目標もあります。
松:目標に向かって、
ゆっくりとでも着実に進めていけると良いですね。
F :はい、わかりました。
[協力]
医療法人社団慈雲堂病院地域連携推進部デイケア室
東京女子医科大学大学ニュース 2016年9月第762号より